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学校長挨拶(12月)

「存在」する学校にするために

北海道帯広聾学校長 大塚 雅彦

 北海道内には179の市町村があります。政令指定都市の札幌市のことを知らない人はいないと思いますが、「179市町村のすべての地名を知っている」という人はどのくらいいるでしょうか。  北海道はアイヌ語に由来する、北海道外の方々にとってはあまりなじみのない読み方をする地名がたくさんあります。中には「難読地名」と呼ばれる、北海道民でも読めない場所もあったりします。  その市町村や周辺地区に住んでいる人は当たり前に知っているけれど、縁もゆかりもない人にとっては、「そんな地名あったっけ?」、「それって北海道にあるの?」ということも少なくないと思います。  さて、10月末に、北海道内の特別支援学校PTAの全道大会が、本校をメイン会場に行われました。隣接する帯広盲学校とともに主管校となり、オンラインで開催しました。  その折に、十勝の南西部にある中札内村の森田匡彦村長を講師に、記念講演を行いました。  かねてより森田村長は、村内にある中札内高等養護学校を本当によく御存知で、学校と村役場等とのコラボによる取り組みが大きな教育的成果を生んでいます。  中札内村は、SNSによる情報発信での広報・啓発とともに、どの自治体でも行っていることながら、それをとにかく徹底的に力を入れて実施し、その取り組みの成果は数値にも現れ、ふるさと納税額が以前の約65倍にまで跳ね上がったそうです。  そして、冒頭に記述した地名に関することにも触れられていました。 「知られていないのは、存在していないのと同じことです」 「本日、このようにお話しする機会をいただいて、これまで中札内村を知らなかった方々の中に、今、中札内村が存在しました」 とお話しされていたのが、とても印象的でした。  今年、創立86周年になる本校ではありますが、市内において、決して認知度が高いわけではありません。本校を人々の中に存在するものとするための方法はいろいろあるのだ、と背中を押された気がしました。  考えてみれは、ホームページというものは、基本的にそのページに用がある方しか訪れないものです。ですから、本校でホームページの更新に力を入れ、それなりに成果を挙げていると思っていましたが、定期的に見てくださる方でなければ更新されていることを知るすべはありません。もっと広がりをもたせる方法が、まだまだあるはずです。  確かにその通り。その通りなのですが。  やはりセキュリティ面、炎上案件の未然防止など、不安は尽きません。しかし、それは学校ホームページの運用と、さほど変わらないような気もします。  情報発信の方法であるSNSは数多く存在し、どのように選んで、どのように運用すれば、業務過多にならずに効果的に本校のことを知っていただくことができるのか。  北海道内でも、既にSNSを活用して情報発信している特別支援学校が数校あります。そういった先行事例を参考にしながら、次年度に向けてしっかり考えていきたいと思います。  多くの人々の中に、帯広聾学校が「存在」するように、教職員と一緒に知恵を絞りながら取り組んでいきたいと考えています。

(令和5年12月)

 ※中札内村長に、掲載許可をいただいています。

冬の帯広聾学校

冬の帯広聾学校 12月の帯広聾学校